③金谷ホテル歴史館

金谷カテッジイン(サムライ屋敷)

サムライ屋敷 入口
サムライ屋敷1
サムライ屋敷2
バス停「金谷ホテル歴史館」付近
 神橋から中禅寺湖方面へ国道120号をおよそ1km、「西参道」と「田母沢御用邸記念公園」の中ほどに、『金谷ホテル歴史館』というバス停が平成28年(2016)12月1日にできた。
 そこには、我が国西洋式リゾートホテルの第一歩といえる建物「金谷サムライ屋敷」と、隣接するカテッジイン・レストラン&金谷ホテルベーカリー カテッジイン店がある。

金谷カテッジイン(サムライ屋敷)

 バス停「金谷ホテル歴史館」の右側に金谷ホテルの武家屋敷がある。別名「サムライハウス」とも呼ばれる金谷ホテルの「記念館」である。約270年前の建物で、垣根に囲まれ、一般民家と変わりないため、なかなかわかりにくいが、我が国の外人リゾートホテルの第一歩ともいえる記念すべき建物である。
 明治5年(1872)6月、宣教師でヘボン式ローマ字の発案者、ヘボン博士夫妻が、この建物の2階で夏を過ごした。そして博士は、将来日光を訪れる外国人はきっと増えるからと、金谷善一郎氏にホテルの経営をすすめた。それが金谷ホテル設立の切っ掛けとなり、明治26年(1893)に神橋近くの現在の場所に、ホテルが建設された。
 武家屋敷と呼ばれるのは、木造2階建ての質素な建物が、江戸期の遺構をそのまま残しており、外国人にはとりわけ武家(サムライ)のイメージを与えるためである。天井は低く、日中でも薄暗いタタミの部屋。ケヤキの太いはりや天井からつり下がる銅製の自在カギ、大きな鉄ビンなどそこには日本情緒があふれている。事実この家は、武家ならではの工夫も凝らされていて、刀を抜こうにも天井が低くて振りかざせないとか、押入れに見えるフスマが抜け道だったり、家中逃げ道が考えられていたり、まったくの武家向きの構築で、そこに武家の生活用具(こたつや食事の膳・絵画など)が、そのまま置かれていることから外国人にとっては、日本ムード満点の鑑賞物である。
 でも、金谷ホテルの滞在客が見学に訪れるのみの開放であったが、『もうひとつの日光を歩く』日光ふるさとボランティア編の発行時の平成8年(1996)には、老朽化して見学させていなかった。ところが、平成27年(2015) 3月29日 、「金谷ホテル歴史館」として、一般公開されるようになった。日光に外国人用の「ホテル」を発祥させた記念すべき建物が保存され、見学することができる。本当に喜ばしい。その後、バス停「金谷ホテル歴史館」もできるという粋な計らいも素晴らしい。
 参考文献:『もうひとつの日光を歩く』日光ふるさとボランティア編

金谷真一と父金谷善一郎

 金谷真一氏は、明治12年(1879)12月8日、日光生まれ。父善一郎氏は金谷9代目で、西町のこの屋敷に住んでいたが、ヘボン式ローマ字の発案者ヘボン博士を泊めたのが切っ掛けでホテル業を始める。リゾートホテルの先端を切って始められた「金谷ホテル」の起源である。真一氏が生まれたのは、金谷ホテルができて6年目である。真一氏の3才下の弟正造氏は、箱根宮ノ下の富士屋ホテル・山口家の養子となり、兄弟そろって日本のホテル創生期に活躍する。

 日本のホテルの歴史では、慶応3年(1867)東京築地に「ホテル館」、明治2年(1869)横浜に「クラブ・ホテル」、同3年(1870)東京築地に「精養軒」(2年後(1872)焼失)同6年(1873)6月「金谷ホテル」発足。10年(1877)上野に「精養軒」、11年(1878)箱根宮の下に「富士屋ホテル」とあり、現存するホテルでは金谷ホテルが最も古い。

 真一氏は、ホテル経営のかたわら国立公園の基礎づくりにも力を注ぎ、日光軌道線(昭和43年(1968)廃止)の設立に参画、山岳道路の改修陳情や自動車会社の創立など観光面に残した功績は大きい。昭和21年(1946)4月には日光観光協会長となり、戦後の日光の立て直しに努力した。昭和40年(1965)5月4日、日光市名誉市民に推戴されたが翌々年の昭和42年(1967)2月16日、87才の高齢で逝去した。

 参考文献:『日光 社寺と史跡』沼尾正彦著

カテッジイン・レストラン&ベーカリー

 侍屋敷への入場券(入場用トークン)は、隣接するレストラン棟のキャッシャーで買い求める。レストランの中を通り屋敷に向かうわけだが、そのレストランでは、金谷ホテルベーカリーのパンを使った料理長自慢のパン料理と伝統的なカレーメニューが豊富で、落ち着いた店内で、ゆっくり食べることができる。
 キャッシャーの奥には金谷ホテルベーカリー・カテッジイン店があり、人気のロイヤルブレッドをはじめとした金谷ホテルベーカリー定番のパンや、どこか懐かしい菓子パンが並び、歴史館のロゴが入ったマグカップやトートバッグなどのグッズも買うことができる。
 金谷ホテル歴史館は、「金谷侍屋敷」で江戸時代の武家屋敷の面白さを見学しつつ、“国際リゾート日光=華やかなりし明治時代“に想いを馳せた後、「カテッジイン・レストラン」でクラシカルな西洋料理に舌鼓を打ち、「金谷ホテルベーカリー直営店」でパンを買う楽しみが味わえる、3度、4度とおいしい複合施設である。

金谷ホテル歴史館(金谷侍屋敷)

9:30-17:00(冬期12-2月 10:00-15:00)

                  入館料 大人¥550 小学生¥275

https://nikko-kanaya-history.jp 

カテッジイン・レストラン

9:00-17:00(冬期12-2月 10:00-16:00)

15:00からは喫茶メニューのみ

金谷ホテルベーカリー・カテッジイン店

9:00⁻17:00

https://nikko-kanaya-history.jp/cottage-inn-restaurant

※12-2月に数回、全館休業日がある。詳しくは上記サイトまたは問い合わせでの確認が必要。

カテッジイン・レストラン&ベーカリー
カテッジイン・レストラン&ベーカリー

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