国道120号線において神橋の道路を挟んで反対側に位置していて、深砂王堂の隣り、国道に太い幹を出している杉の巨木である。見事な巨木で、「太郎杉」と呼ばれるが、七里にある″並木太郎″とは別で、車道がせまいので、これを切る、切らないと論争の続いた杉として知られている。 |
太郎杉事件(裁判)
国道120号線における神橋付近は、道路幅が狭く交通渋滞の元凶になっていると主張する栃木県は、道路の拡幅を前面に出し、土地の強制収用を目論んだ。ところが、境内地の巨杉群を有する日光東照宮は、国立公園の特別地域であることと一度伐採してしまうともう二度と元には戻せないことなどを理由に宇都宮地方裁判所に行政訴訟を起こした。時は、昭和39年(1964)8月のことであった。それから5年間、審理が行われて、昭和44年(1969)4 月に判決があった。内容は、『国立公園の特別保護地区に指定されている地域の自然景観を破壊してまで道路を拡幅する特別の必要は認められない。道路には他に代替性がある。』として日光東照宮の勝訴となった。構図は、栃木県VS日光東照宮の対立と思っていたら、国道120号線は国の管理なので、現実は、栃木県・建設省VS日光東照宮であった。この判決に不服だった栃木県・建設省は、直ちに東京高等裁判所に控訴した。そこで、更に、4年間の控訴審が行われ、昭和48年(1973)7月13日、判決が下りた。内容は、『第1審を全面的に支持し、上告は棄却する。』というものであった。これを受けて、栃木県・建設省は、最高裁判所への上告を断念し、日光東照宮の全面的な勝訴が決定し、太郎杉他老杉群は永久に保存されることになった。
その後、栃木県・建設省は、神主山等にトンネル工事を行い、現在の日光・清滝間の有料道路が出来る切っ掛けになった。また、日光東照宮も太郎杉の後ろに歩道を作り、特に、人身事故防止に心配りをした。しかし、この気持ちが充分には理解されておらず残念で堪らない。どうか小・中学校の引率教師や旅行業者には、この歩道を利用し児童生徒の事故防止に努めて貰いたいと願っている。
歩道入口
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